複利計算機
100万円を年利5%で運用したとする。1年目の利息は5万円。では2年目の利息はいくらだろうか。5万円——そう答えた人は多いが、正解は5万2500円だ。増えた2500円は、1年目の利息5万円がさらに利息を生んだ分である。この「利子が利子を生む瞬間」こそ複利の正体だ。複利計算機は、この雪だるま式の増え方を1年ごとに可視化し、数字が加速していく様子を目の当たりにさせてくれる。
この記事では、利子が利子を生む仕組みを年次表で顕微鏡のように観察し、たった1%の金利差が30年で何百万円の差になるかを見ていく。72の法則、つみたてNISAの具体例、そして複利を殺す3つの犯人——すべて実数で検証する。上の複利計算機に金額と金利を入れれば、あなたの雪だるまがどう転がるかが一目でわかる。

顕微鏡で見る——利子が利子を生む瞬間
100万円を年利5%で運用した場合の、最初の5年間を1年刻みで追ってみよう。
| 年 | 年初の元本 | その年の利息 | 年末の合計 |
|---|---|---|---|
| 1年目 | 100万円 | 5万0,000円 | 105万円 |
| 2年目 | 105万円 | 5万2,500円 | 110万2,500円 |
| 3年目 | 110万2,500円 | 5万5,125円 | 115万7,625円 |
| 4年目 | 115万7,625円 | 5万7,881円 | 121万5,506円 |
| 5年目 | 121万5,506円 | 6万0,775円 | 127万6,281円 |
「その年の利息」の列に注目してほしい。5万円→5万2500円→5万5125円と、利息そのものが毎年増えている。これが複利の加速だ。単利なら毎年5万円ずつで5年後は125万円。複利との差は2万6281円——まだ小さい。しかしこの差は時間とともに爆発的に広がる。期間を延ばして差の広がり方を確かめたいときは、複利計算機で10年、20年と入力してみると実感できるはずだ。
たった1%の差が、30年で500万円の差になる
100万円を30年間運用した場合の、金利別の到達額を比べてみよう。
| 年利 | 10年後 | 20年後 | 30年後 |
|---|---|---|---|
| 3% | 134万円 | 181万円 | 243万円 |
| 5% | 163万円 | 265万円 | 432万円 |
| 7% | 197万円 | 387万円 | 761万円 |
3%と7%の差は、30年後には518万円にもなる。同じ100万円、同じ30年——違うのは年1%2%の金利だけだ。銀行の普通預金(0.001%程度)と投資信託の期待利回りを比べるとき、この表を思い出してほしい。自分の数字でこの「1%の重み」を確かめるには、複利計算機に金額と年数を入れてみるのが一番早い。
72の法則——暗算で倍増年数を出す
「72 ÷ 年利(%)= 元本が2倍になる年数」。これが72の法則だ。年利6%なら72÷6=12年で2倍、年利3%なら24年かかる。逆に「10年で2倍にしたい」なら72÷10=7.2%の利回りが必要とわかる。
この法則のすごさは、複利の非直感さを直感に変えることにある。「5%って大したことない」と思っていた人が、72÷5=14.4年で2倍になると知ると、見方が変わる。電卓いらずの暗算ツールとして、ぜひ覚えておこう。

つみたてNISAの具体例——月3万円×20年
毎月3万円を年利5%(想定)で20年間積み立てた場合を計算してみよう。積立総額は720万円(3万円×240ヶ月)。しかし複利の力で、20年後の到達額は約1233万円になる。513万円が「利子が利子を生んだ分」だ。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 積立総額(元本) | 720万円 |
| 20年後の到達額(年利5%) | 約1,233万円 |
| 複利による増加分 | 約513万円 |
毎月の積立は「雪だるまに雪を足し続ける」行為に相当する。元本が増えれば増えるほど、利息の加速も強くなる。早く始めるほど雪だるまが大きくなる——これが積立投資の本質だ。複利計算機で月額や年数を変えて試すと、どの組み合わせが自分に合うかが見えてくる。
複利を殺す3つの犯人
犯人1:手数料(年2%の罠)
年利7%の商品でも、手数料が年2%かかれば実質5%だ。先ほどの表で見た通り、7%と5%の30年後の差は329万円。手数料は「たった2%」に見えて、複利の世界では数百万円の差になる。手数料の安い商品を選ぶことは、利回りを上げることと同じだ。
犯人2:インフレ
年利3%で増えても、物価が年2%上がれば実質の増加は約1%だ。名目金利からインフレ率を引いた「実質金利」で考える癖をつけよう。複利の加速も、インフレの加速に食われることがある。
犯人3:途中解約
複利の加速は後半に集中する。20年の運用で、増加分の半分以上は最後の5年間に生まれる。10年で解約してしまうと、最もおいしい部分を逃すことになる。長期運用ほど複利の恩恵が大きい——だからこそ、無理のない金額で続けることが大切だ。

単利との決定的な違い——10年表で見る
100万円・年利5%の場合の、単利と複利の10年間の差を改めて確認しよう。
| 年数 | 単利 | 複利 | 差 |
|---|---|---|---|
| 1年 | 105万円 | 105万円 | 0円 |
| 5年 | 125万円 | 128万円 | 約3万円 |
| 10年 | 150万円 | 163万円 | 約13万円 |
| 20年 | 200万円 | 265万円 | 約65万円 |
| 30年 | 250万円 | 432万円 | 約182万円 |
差の列が物語っている。1年では0円、5年では3万円——「大したことない」と思うだろう。だが30年では182万円だ。複利は「時間の味方」であり、時間こそが最大の資産である。複利計算機でこの表を自分の数字で再現してみてほしい。数字が語りかけてくるはずだ。
今日からできる3つのステップ
1. 複利計算機に「今ある金額」「毎月の積立額」「想定利回り」「年数」を入れて、30年後をシミュレーションする。2. 手数料の安い商品と高い商品で比べ、30年後の差を確認する。3. 無理のない月額で積立を始め、途中で止めない仕組み(自動積立)を作る。
利子が利子を生む瞬間を一度でも目の当たりにすれば、お金との付き合い方が変わる。雪だるまは、転がし始めた人にだけ味方する。まずは複利計算機で自分の雪だるまをシミュレーションしてみよう。

